ハニカム(Honeycomb)とは英語で蜂の巣を意味します。そして蜂の巣のような六角形や、その他同一の立体図形(セル)を隙間なく並べた構造体をハニカムコアと呼んでいます。自然界から学んだその構造は、軽量、高強度、高剛性、表面積が広い、衝撃吸収性が高い、整流作用や断熱性能があるなど、優れた性質をもっています。
基本となる素材(紙、アルミ、プラスチック)の両面に線状に接着剤を塗布し積層していきます。ブロック状になったものを必要な幅で断裁し拡げると、六角形のセルの集合体、ハニカムコアとなります。
ハニカムコアはその構造から空隙率が高く軽量で、しかも圧縮強度が高いことが大きな特長になっています。樹脂フォーム材と比較すると、低密度で高圧縮強度であることがわかります。開閉する扉の芯材などの建築分野、軽量化が求められる土木分野などさまざまな分野で、部材をハニカムコアに変えることにより、大きなメリットを得ることができます。
ハニカムコアの両面に表面材を貼合し、あらかじめパネル形状にしたものをサンドイッチパネルと呼んでいます。サンドイッチパネルは、単位幅当たりの曲げ剛性が同等の単一素材の板に比べ非常に軽量です。たとえば17mm厚のアルミ板(A5052P)に対し、厚さ28mmのアルミサンドイッチパネルの重量は約15%で、大きく軽量化することができます。
無数に連続したセルの表面積は、セルが細かくなればなるほど大きくなります。極薄の材料を使用した極小セルサイズのマイクロハニカムは、圧力損失が低く、表面積が非常に大きいため、フィルター用途として優れた性能を発揮します。
整然と並んだセルの集合体であるハニカムコアには、乱れた空気の流れを一定方向に整える整流作用があります。この整流作用と軽量であることを利用し、ショーケースや風洞装置の整流板として利用することができます。
ハニカムコアの厚さ方向に対して圧力を加えていくと、ハニカムコアの持っている圧縮強さの最大応力に達するまで、わずかな変位で圧力を吸収します。最大応力を過ぎてさらに圧力を加えていくと、最大応力の約半分の応力を維持しながらハニカムコアは座屈していきます。このハニカムコアの特性は、重量物の緩衝材などに生かされています。
ペーパーハニカムコアは紙を原料にしているため、素材自体が木材と同程度の断熱性能をもち、セルサイズが小さいほど空気の対流が抑えられ、断熱性能が高くなります。セル内に断熱材を充填したペーパーハニカムコアはさらに断熱性を向上しています。